2009/08/16
[終戦記念日特集]予科練資料館
「死に損なった…それしか考えませんでした。」
現在大分市に住む川野喜一さんは、終戦を告げる玉音放送を聞き、最初にそう思ったそうです。 この考え方、皆さんには理解できますか?私には到底理解できません。
私は思い切ってこう切り返しました。
「私には理解できませんが…どうしてそんな風に思えたのですか?」
川野さんはしっかりした口調で、こう答えました。
「20歳で死ぬんだと、そう思ってたからです。それが当たり前の時代だったんです。」
川野さんは、予科練の出身で数少ない元特攻隊員。そんな川野さんが運営・管理する、 『予科練資料館』 は大分市の上野丘にあります。

最初にお伝えしますが、予科練資料館は大分県の施設でも大分市の施設でもありません。あくまでも川野さんの個人宅に作られた私的な資料館です。 もし見学に行かれる際は、連絡し在宅を確認してから訪問して下さい。
川野館長は我々に多くの事を教えて下さりました。 それは戦争の真実から、現代の世界情勢、そして思想に至るまで、様々な事です。 かなり強烈な印象を受ける思想的考え方も含まれますので、ここではあくまでも我々が目にした事実だけをお伝えしたいと思います。
予科練とは、海軍飛行予科練習生、俗に言う少年航空兵のことです。制度の出来た昭和5年から15年3ヶ月に渡り、多くの優秀な若者達を輩出して来た、当時の軍事エリート学校というところでしょうか。 第一期生の志願者が5,800名で、合格者が僅か79名ということですから、どれだけ狭い門だったかというのが良く分かります。
太平洋戦争末期、米軍はついに日本本土上陸を開始し、日本は悪化する戦況の打開を図るため、ある戦法が取られました。
―特別攻撃隊―
一機一艦必殺の体当り。 名も命も惜しまず、何のためらいもなく、ただ国を救うことのみを考えた作戦だったと言います。
特攻隊として、次から次に飛んでいった若者達こそ、この予科練の卒業生だったのです。 最終的に特攻隊として亡くなった方は、予科練卒業生の何と8割。 2,534名の20歳前後の若者達が、こうして若い命を失っていったのです。予科練資料館の中は、とにかく貴重な資料で溢れています。
特攻隊の方が身に着けていたものから、実際に亡くなられた河野館長の同期生の皆さんの遺影などなど。一つずつ丁寧に見ていると、あっという間に時間は過ぎてしまうほどです。
特に目を引いたのは、やはり飛び立つ隊員が家族宛に書いた遺書の数々。ほんの一部しか紹介できないのが残念ですが、短い文章のものを抜粋してお伝えしたいと思います。
『父上様、母上様、長い間有難うございました。 何も言い残す事はありません。ただ有難うの一言です。 家門の名を汚さぬ死に方をする覚悟です。 叔父上、叔母上様、永き厚恩を謝す。幼年時代に遊び歩いた田舎道や、叔父上、叔母上のお顔が、いよいよ最後の時になり、懐かしく思い出されます。 最後まで、笑っていきます』
『父様、母様、お元気で。 お体大切に。泣かずに微笑んでで下さい。 「我、父母の子にして子にあらず、 死して悔ゆることなし」』
川野館長が、特攻隊員として正式に任命されたのが、昭和20年7月25日。そして62年前の夏、結局川野館長が戦場へ飛び立つ事はなく、終戦を迎えたのです。 この話の流れで、冒頭の川野館長とのやり取りへ繋がります。
「20歳で死ぬんだと、そう思ってたからです。それが当たり前の時代だったんです。」
川野館長はそう答えました。 正直そう聞いても、やっぱり私には理解できないお話でした。
その後、川野さんはこう続けました。
「でも生き残ったのには、何か理由があると思ったんです。だからここに予科練の資料を集め、一人でも多くの方に知ってもらおうと努力しています。」
特攻隊の話を聞いて、「可愛そうだ」とか「理解できない」とか「恐いなぁ」とか…そう思うのは簡単です。そこから少し考えを広げて、現代の社会を否定したりする事は、個人個人の思想の問題です。 だけど、もう一歩だけ踏み込んで、私は考えてみました。
戦争を知らない私が出来る事など、本当に限られています。昨年、今年と色々な経験をし、私はこう思いました。
『知る事、そして伝える事』
これこそ、ほんのちょっとの努力で出来る、平和への大きな一歩だと感じたのです。運良く私にはここと旧ブログで、平均2000アクセス/日、1000人の訪問者/日が見てくれています。 そんな皆さんに、私が見た事、聞いた事をお伝えしました。
この真実をまた皆さんが、一人でも多くの人に伝えてもらえれば、また平和について考えてくれる人が増えるはずです。
2007年、猛暑に見舞われ続ける大分県で、戦争を知らない私が、考えたこと。皆さんに伝わったでしょうか?
平和な世の中が、一日でも長く続く事を、これからもこの大分県から祈っています。












